ホテル・アウィーナ大阪で公共労看護部集会を開催しました。参加者は18名。

9月27日(土)医療労働会館にて

看護部集会を開催!

 集会では、
  • 1 医療職(三)の給料について
  •  
  • 2 正循環勤務、交代制勤務の問題について
  •  
  • 3 看護師の退職者意識調査について
 の説明をし、その後「看護師にとって、勤務を続けられなくなるのは何が問題なのか」 「看護師の再重要課題は何か」というテーマでグループ討議を行いました。
 最後に今後の看護部体制を確立するために看護部長と看護副部長を選出しました。 各支部からの代表者のうち、一人を看護部長とし、それ以外の代表者を副看護部長にするということになり、 看護部長に中国支部の小田芳美さん、副看護部長に四国支部の丸尾太一さん、 他の東北、関東、東海支部については改めて一人ずつ看護副部長を選出してもらうことにしました。

1 医療職(三)の給料について

 医(二)の給料と比較したときに採用時には医(三)の方が給料が高い(23,700円)のに14年目(34歳)には逆転されてしまう。その理由は、@医(二)はその14年間で1級から4級に昇格していいて、3回も昇格があるのに、医(三)は2級のままで昇格がない。「給料は昇格時に増額する性質」があるので、昇格数に差があることが問題であること。Aその後、医(三)は3級、4級に昇格し、2回昇給した時点30年目(50歳)で比較したとき、医(二)は4級から5級に1回しか昇格していないのに、14年目で逆転された給料額の差(8,200円)が更に開いてしまっている(16,900円)。これは、「各級の昇給額が一定ではなく、その級に長く留まってしまうと昇給額が少なくなってしまうようになっている性質」によるもので、たとえば2級であれば昇給の間差額(いくら上がるか)はピーク時には1号給あたり2,400円あったものが、昇格前には1,600円まで減っている。3級においてもピーク時には1,800円あるが、2級から3級に昇格する16年目(36歳)では間差額は1,400円になっていて、3級に昇格した時にはピークが過ぎていることにより、寧ろ昇格した先の昇給間差額が少ないなどの影響によるものである。
 つまり、医(三)の給料は昇格数が少なく、同じ級に長く留まっているために、採用時には、医(二)と比較した時には高い給料額が逆転されてしまう、というものであり、生涯賃金においても500万円以上少なくなってしまっている、ということがいえる。
 また、給料よりも手取りを気にする職員が多いとは思うが、給料月額の違いは、一時金や地域手当、時間外勤務手当などの算出基礎となる上に退職金や年金額にも影響を及ぼすことから何百倍にも影響があること、などから収入の基本になるものだという認識を持って欲しい。
 他の公的病院と比較しても採用から5〜10年の間で抜かれてしまう理由は、「公立共済は昇格が遅いから」といえる。

2 正循環勤務・交代制勤務の問題について

 交代制勤務のパターンを図式化したもので説明した。
 1週間で区切った場合は24時間×7日=168時間であり、2日間の休日を引けば144時間になる。1日の勤務は8時間(実際には7時間45分、昼休みを入れれば8時間ではないが計算上8時間とすると)だから144時間−8時間×5日=104時間になる。この104時間は週5日の中で勤務を要しない時間になるが、均等割りすると20時間以上あるので勤務間隔12時間の確保はさして問題がないように感じる。 しかし、休日前後にこの時間が充てられないと、休日が「夜勤明け」「夜勤前」となってしまい「休んだ気がしない」ということになってしまい、このことから現在の様な圧縮勤務が多く取られている原因になっている。
 日勤→深夜、準夜→日勤、深夜→準夜という逆循環には、それなりの理由があるということ。しかし、「勤務間隔12時間以上の確保」や「連続夜勤は2回まで」は交代制勤務者にとって健康被害を防ぐためには譲れないものでもある。
 医労連要求の「交代制勤務者は週32時間にしろ」は、これらの問題を解決する要求であることについては全員が認識した。
 四国支部では、希望者に対して「正循環勤務」が出来る様にしている部署もあると聞いている。
 正循環勤務は、週40時間(38時間45分)勤務の状態では、導入に反対する職員が多いが、導入後はほとんどの職員が「楽になった」と言っている事例もある。正循環勤務に対する職員の理解が更に必要と感じている。

3 看護師の退職者意識調査について

 本部理事者が2014春闘時に提供した資料の解説。
 アンケート回答では、5年未満で看護師の53%が辞めてしまっている。しかし、辞めたうちの69%が看護師として再就職しているという事実。退職した理由のトップが「家庭の事情(55.4%)」となっているが、その後看護師として再就職していることを考えると、家庭の事情(勤務時間、拘束時間、休暇等)に対応していない現状での勤務環境の改善が必要ではないか?ということになる。結婚、出産、育児、介護など家庭の事情は様々ではあるが、院内保育所の充実(保育時間の延長・24時間化や病児保育)や短時間勤務への移行などの柔軟性などが求められるのではないかという意見があがった。
 また、3年目以降の看護師はプリセプター制度などにより、業務量や責任が急に多くなるころにあたる。しかし、業務量や責任が多くなる時期に昇格が行われていないことなども辞めてしまう原因に考えられるのではないか。

4 グループ討議

(討議の結果、支部での事前アンケートなどから)

(1)看護師にとって、勤務が続けられなくなるのは何が問題なのか
 
・勤務条件が悪い、異動が多い、人間関係がしんどい、身体がしんどい
・給料が少ない、ボーナスも少ない、年休を取らせてもらえない。
・外来が定時に終わらない。救急当直や日直もある。病棟への応援にも行かされている。
・年休を丸々1日もらえない。もらえても時間休。
・子育てをしている人は、院内保育とかを利用しても24時間保育とかではなく、休日も預かってもらえないので夜勤などの交代制勤務がしにくい。家庭との両立が難しい。
・育児と仕事との両立が難しい。パートや時短などが言い出しにくい。短時間でも働ける環境がない。
・近隣の他病院と比較したときに、夜勤体制や給与、福利厚生などの待遇が悪いこと。
・研修も日勤扱いにしてくれる病院がある。
・レベルアップの面で中途半端、モチベーションが上がらない。
・看護師は他にもいるのに当院には来ない。魅力がないから。
・自分も充たされていないので、人にも勧められない。
・結婚や出産がきっかけになってしまう←辞める理由にしている。
・スキルアップできる他病院への転院
・次にやりたいことが見つけられない。
・教育体制が悪い、職場での異動が多い、夜勤勤務者が少ない、部署により年休取得に差がある。
・時間外の研修が多く、本来の「看護」に注ぐ力がなくなっていく。
・育児休暇、結婚休暇など十分な期間を休めない風潮があり、結婚や妊娠となったら続けていく自信がない。
・健康面が問題、身体的にも精神的にもストレスがたまり1日休んだくらいでは疲れも取れない。せっかくの休みでも日直応援などさせられて休みも返上させられる。超過勤務手当なんかは欲しくない。欲しいのは休みである。当直応援もやめて欲しい。
・みんなが仲良く元気で楽しく働きたい。コミュニケーション不足。
(2)看護師の最重要課題について
・家庭との両立が上手く出来る様に環境を整えて欲しい。
・人手不足の解消、人員配置を!看護師たちがいつ倒れてもおかしくない状況である。
・看護師の人数不足、育休や退職者の人数を補えていない。
・正循環で週32時間勤務にして欲しい。可能となればメリットとなり、病院の評判も良くなって、看護師も増えて良いことばかりだと思う。
・他部署、他支部との交流がしたい。定期的に看護部の集まりを行って欲しい。
・自分たちはボランティアで仕事はしていない。サービス残業や自分の休みを削って看護研究をやらせたりするのは、もってのほかだと思う。
・我慢する人はずっと我慢している。身体的な疲労があっても休みが取りづらい。仕事に見合った人員、人員に見合った仕事量、時間管理をして欲しい。
 グループ討議では、問題がある程度明らかにはなったと思われます。それは、給料などの賃金に対する不満であったり、人手不足による業務の多忙さ、休暇が取れないことなどによる心身の疲労です。また勤務環境による家庭事情との両立が難しいことなどが多く挙げられています。
 公共労では、賃金面での処遇改善や労働条件での夜勤軽減、有給休暇の取得率向上を要求しています。いわゆる「賃上げ要求」は全職種に共通する要求ではありますが、看護師では「3級職への昇格基準の短縮」、「有給休暇の取得率向上」と家庭生活との両立を図るべく「院内保育所の充実(夜間保育や病児保育)」などが当面の要求となります。また、各支部からの意見に「オペ室での被ばく問題」が挙げられ、医師と比べて一部プロテクターがない病院、医師も看護師も一部プロテクターをつけていない病院がある、ということで、病院への安全管理面での指導というのも緊急性があるので、それらを秋闘時の要求に加えることを確認しました。

5 パワハラの一掃ビラについて

 パワハラ対策は、プライバシーの保護など難しい面も沢山あるが、現に困っている人、苦しんでいる人をこれ以上看過することは出来ないということで、今回相談窓口を設けた。各支部でも定期的に調査を行い、パワハラの一掃に取組んで欲しい。

☆終わりに☆
看護部の集まりについては、問題が沢山あることは認識していましたが、勤務の都合上、なかなか集まれる日程が組めないでいました。今回も出来れば宿泊を間に入れて交流も図り、2日間に渡って実施したかったんですが・・・。(グループ討議でも活発な意見が多く、会議の時間が足りないのは明白でした。)
 それでも今回、看護部長や看護副部長を決められたことは大きな成果だと思います。今後、各支部でも看護師の集まりを積極的に行って欲しいと思います。
 今後は、定期大会や中央委員会、団交時などに看護部の集まりを組んで話し合う場を作っていきたいと考えていますので、よろしくお願いします。