保安協定締結についての申し入れについて
先だって、理事者側から、公共労が4月22日に決行したストライキ時における
保安協定の締結について「遺憾」であるという申し入れがありました。
公共労は本日、それに対する意見を理事者側に申し入れました。
保安要員は通常業務を行うための
ものではない
理事者側は「病院側の再三の要請にもかかわらず、
保安要員が1名も出されなかった部署」があり、それが「病院における正常な業務運営を阻害」し、
「これまでの信頼関係を覆す」ことになり「遺憾」としています。
問題になった部署での保安協定は、当該支部と病院が、非組合員の人数や業務調整の可否も考慮した上で交渉し
保安要員0人と判断し協定したものです。
結果として大きな混乱も生じず、その交渉や協定に至る過程に何ら問題はなかったと公共労は考えています。
また理事者側は、保安協定は「病院における正常な業務運営を阻害しないという趣旨による」としていますが、
公共労は、争議行為中の保安要員はあくまでも「救急患者及び入院中の重症患者のためのものであり、
通常業務を行うためのものではない」と考えます。
患者さんの治療に大きな影響を及ぼすことを公共労として決して望んでいません。
しかし理事者側の言う「正常な業務運営を阻害しない」争議行為ということについては労働組合の根幹にかかわることであり、
「労使の見解の相違がある」と言わざるをえません。
労使双方で争議行為とならないよう努力
することこそが大事
病院においてストライキ時に保安協定を結ばなければならない法律的な根拠はありません。
しかし、労働協約上「協定勤務者」という文言が掲載されていることから、
公共労はこれまでも保安協定を結んでまいりました。
その際、保安要員の人数は、その時々のストライキの形態や要求、病院、部署ごとの状況によって
各支部と病院とが誠実に交渉をして決めることであり、今後もそれに何ら変わるものではありません。
今回、公共労が2016春闘で掲げた要求(年末年始勤務手当や早出手当に代わる具体策、
年休取得率向上の具体策、看護師の低賃金を少しでも解消すること、月8日を超える夜勤に対する手当等々)は
どれ一つとっても労働者にとって切実で譲ることのできない要求です。
公共労は本部団交で三度にわたり、職員が直接理事者に苦しい実情を涙ながらに訴え改善を求めたにも関わらず、
理事者側は誠意ある回答を一つも示さず、公共労はストライキ決行を決断せざるを得ませんでした。
労使双方で争議とならないよう事態を収拾していく努力こそが大事だと考えています。
【理事者側からの申し入れ 4月25日】
争議行為に係る保安協定の締結について(申し入れ)
このことについて、貴組合との間で争議行為が発生した場合は、貴組合との労働協約書(昭和38年2月1日付け)第60条に基づき保安協定を締結し、
協定勤務者を定めることとなっています。これは、争議行為中であっても、労使相互の信頼関係に基づき、
病院における正常な業務運営を阻害しないという趣旨によるものであり、これまでも争議行為の際には各病院において各部署の協定勤務者を取り決めてきたところです。
しかしながら、平成28年4月22日に行われた争議行為において、一部の病院で、病院側の再三の要請にもかかわらず、
保安要員が1名も出されなかった部署がありました。このようなことは、病院における正常な業務運営を阻害することになり、
これまでの信頼関係を覆すことにもなりかねず大変遺憾です。
今後、このようなことがないよう、ここに強く申し入れます。
【公共労からの意見申し入れ 5月9日】
争議行為に係る保安協定の締結についての申入れについて
平成28年4月25日付けで「争議行為に係る保安協定の締結について(申入れ)」をされた件について
一言当組合としての意見を述べさせていただきます。
「争議行為中であっても労使相互の信頼関係に基づき、病院における正常な業務運営を阻害しないという趣旨によるものであり」
という主張に関しては、当組合としては争議行為中の保安要員は、あくまでも「救急患者及び入院中の重傷患者のためのものであり、
通常業務を行なうためのものではない。」と考えます。
不測の事態を想定し、いつでも組合員が対応できる準備はさせていただきますが、
「予め混乱を起こさないよう予約などについてはご配慮願いたい。」と争議行為の予告も病院側にさせていただいているところです。
今回の保安協定の締結に関して、「遺憾」の意を表されていることについては、労使の見解の相違があるかと思われます。
憲法で保障されています「争議権」の行使については、今後も粛々と実行させていただくことになりますが、
労使双方で争議とならないよう事態の収拾を図る努力を続けてまいりたいと考えています。
なお、保安協定の締結に関しましては労使双方の合意をもって締結されるものであり、
労使が協議を重ねた結果の協定について一方が異議を申し立てるという事態についても
今後は避けるべきではないかと考えることを念のため申し添えます。