第1回女性部集会報告

開催日 2015年5月9日〜10日

会 場 神戸・北野プラザ六甲荘

公共労として第1回目の女性部集会を神戸の北野プラザ六甲荘で開催しました。出席者は全体で18名(女性15、男性3 東北2、東海2、中国7、四国3、東京支部3、書記局1)でした。 まず始めに佐々木中央執行委員長のあいさつ、佐々木委員長はケガから復帰して最初の公共労行事への参加でした。女性部集会への思いを語っていただきました。 その後、女性特有の問題を喚起するためにいくつかのテーマに沿って書記長から説明しました。

1 母性保護の重要性
(「女性の権利ノート」から)

 男性と女性では、そもそも体の仕組みが違っている。
 女性には守らなければいけない母性があり、母性保護とは女性が持つ母性機能に対する「社会的な保障」である、産む性を持っているために発生するからだの問題(月経、妊娠、出産、更年期など)全てに対する保障。
 男女雇用機会均等法は、性による差別や不利益扱いを禁じたものであり、「女性にも男性なみに働け」というものではないはず。母性保護を行ったうえで働き続けられる条件整備を行っていくことが重要と考えられる。

2 年次有給休暇や各種特別休暇について

(公共労「はたらく仲間の権利ブック(仮)」から)

  病院職員の年休取得日数は、昨年は平均7.0日。年休は年間20日あるので取得率は35%しかない。この間公共労は年休取得に関して啓発を行ってきて改善された支部もあるが、全体ではあまり変わっていない。 妊娠・出産・育児に関する特別休暇などについても交渉により前進させてきているが、そもそも年休が取れない職場ではあまり効果がない。年休を取らないことが当たり前になり、それを前提にして勤務を組んでいるから、益々年休が取れなくなる。まずは権利を行使する。行使することを前提にして人員要求を行うたたかいが必要になっていると考えている。  権利はいくら勝ち取っても行使しなければ意味がない。行使できる職場環境の整備は必要だが、職場環境の整備を待っていてはいつまでも良くならない。

3 ハラスメントについて
(セクハラ、パワハラ、マタハラ)

  セクハラやパワハラについては今までも組合で取り組んできているが、医療現場ではなかなか無くならない。職員の意識改革によって職場も変えていく必要がある。マタハラ(マタニティハラスメント)は統計的にはセクハラよりも多い。原因は男性職員の理解・協力不足66.1%、職場での人員などを含めたケア不足39.3%、職員同士のコミュニケーションや配慮不足38.6%、女性職員の理解・協力不足38.6%  となっている。働く女性の妊娠・出産に関しては様々な法律で権利を保護している、そのことを約半数の女性が知らない。仕事をしながら妊娠が分かったときに「不安はあまりなく素直に喜べた」は僅か37.0%で、残り63.0%の女性が「喜び以上に不安を感じている」という状況であり、母性保護が保障されていることをしっかり周知する重要性とともに周囲が理解、協力し、職場だけでなく社会全体で保障していくことが必要ではないか。 看護師の退職者意識調査(H25.公立学校共済組合)によれば、5年以内に53%が退職し、退職者のうち退職事由の1位が家庭の事情、2位が労働環境であった。退職後70%が3年以内に看護師として再就職をしていることから職場環境の改善によっては離職が防げるのではないか、と考えられる。セクハラ・パワハラ問題以上にマタハラの深刻さを感じずにはいられない。

4 グループトーク

 問題を認識してもらった上で、3グループに分けて話し合いをしてもらいました。
テーマは
  •  @ 職場で女性だからと差別されていると感じるとき
  •  A 職場で女性だから大変だと思うとき
  •  B 職場で女性が不利だと感じるとき
 集会参加者のほとんどが看護師であったことから、「女性だから」というテーマはピンと来なかったかもしれませんが、予定を超えてもなかなか話が尽きないグループもあるぐらい様々な意見が出されました。

【主な意見】

 ・夜勤前に家に帰っても家事をしなければならず、仮眠などが出来ない。
 ・土日の休みはほとんど学校行事などで潰れてしまう。
 ・医者からのセクハラやパワハラがある。
 ・妊娠していることを理由に研修希望が叶えられず、自費で研修に行った。
 ・妊娠しても周りのスタッフと同じように働かされる。
 ・人員に余裕のない職場だと休み希望が言い出しにくい。
 ・保育所に預けている子が体調崩しても申請を度々するのが苦痛、夫と妻だと妻が休むことが多い。
 ・上司が部下の失敗に対して性別で差別している。
 ・生理休暇が取得し辛い。「本当に?」と聞かれる。
 ・休みが取れず、子どもといる時間が短くて退職した人もいる。
 ・病休申請してもレク休が残っているとレク休に変更させられる。
 ・年間で年休を組み込んでシフトを組んでもらえれば、月1回の年休取得が現実的になるのでは。
 ・新卒で教えてもらったことが当然だと思うから、間違いに気付き難いし言い出し難い。
 ・結婚や妊娠のタイミングを考えないといけない。
 ・更年期の辛さを分かってもらえない。
 ・体位転換などは重労働で辛い、男性がいてくれたら助かる。
 ・権利の行使は義務を果たしてこそ、甘えてはいけない。
 ・権利は、使えるものは何でも使うというのは違うと思う。
 ・女性でも部分休業などを取り、限られた時間でいい仕事をしている人もいる。

5 まとめ

 意見の中に「権利と義務」という言葉が出ていましたが、 義務を果たさなければ権利を行使できない、という考え方によるものです。 これには周囲の理解やそれなりに議論が必要だと感じさせられます。
 母性保護の保障という観点からも通常の業務を行えない(義務を果たせない?)状態の人もいます。
 そういう時に「まず義務を果たせ」という考え方は、マタハラなどに見られる「価値観押し付け型」と言われるものと変わりがなくなります。
「自分は出来た」「自分ならこうする」は相手の体調や協力する家族の環境によって大きく違うものであり、業務が辛くて離職していく人たちを結局救えないことになります。  実は、マタハラなどでも同性からのマタハラが意外に多く、本人はそのつもりでなくても相手のことを気遣えずに何気なく発した言葉で相手を追い込んでしまうケースがあります。  あるベテランの方が、「今は昔に比べると制度が充実している。昔は大変だった。若い人たちは、せっかくある制度を上手に使って、働き続けられるようにして欲しい」と言っていました。  周囲の方たちの暖かい支援によって救われる人が沢山いるのではないかと感じています。
 第1回目の女性部集会ということで、手探りな状態での企画ではありましたけれど、 色々な意味で「まずは第一歩」を踏み出せたと感じています。
 やはり女性問題は多くありますし、一朝一夕に片付くものでもないのかもしれませんが、 女性問題を話し合う場が提供出来ただけでもこの集会に意義はあったと思います。
 今後はもっと、集まりやすく話し合いやすい集会を心掛けて行きますので、何かご意見等ありましたら遠慮なくお寄せください。
 余談ですが、集会の後は、六甲荘のオーダーバイキングディナー、そして夕食の後、 神戸夜景ツアーに出掛け「1000万$の夜景とポートタワーの夜景」を楽しみました。
 これからも公共労は、「女性特有の問題を話し合う」「女性組合員の交流の場作り」のために、今後も女性部集会を継続して開催していく予定です。 企画や話し合うテーマなどについて、ご意見をお寄せください。